ひなたぼっこばなし 第60話 「満月なお正月」




東京タワーと満月


東京タワーにほえる柴犬まる


素朴な感じの小野神社


小野神社の鐘。いい音がしました。


小野神社の近くの景色

 トラ年になりました。みなさんは、どんなお正月を送りましたか。  私は、12月31日の0時30分ごろに、息子と柴犬まるちゃんと東京タワーに行きました。東京タワーは、2010年の色に変わっていました。ついさっきまで、大勢の人たちがお祝いしていたようで、タワーの下の広場には、お酒のビンや食べ物の残りや、ゴミがちらばり、われたビンの破片がタワーの明かりにキラッと光っていたり…。なんということでしょう。  係の人が一人、トボトボとゴミを集めていました。ご苦労さまです。

 見上げた東京タワーの横には、まんまるお月様がぽっかり。人工の光と、自然の光。空につきささる三角形と空にうかんでいる丸。そんな景色に見とれていると、増上寺の除夜の鐘の音が、ゴ〜ンッ。  しみじみと、「あけましておめでとうございます。」

 そして、1日にはいつものように、「恵方参り」をしました。恵方とは、その年のラッキーな方向。今年は、西南西だそうです。 我が家から地図上に西南西に線を引いて、その線の周辺にある神社をさがしていきます。すると、ドンピシャ神社を発見!  小野神社。ウキウキしながら、さっそく、出かけました。小野神社は、とてもこじんまりとしていて、お参りしている人たちもほんの数人。石段をのぼっていくと、神社の方たちが両側にいて、「おめでとうございます!」と元気よく声をかけてくれました。おまけに、まるをみて、「りっぱな犬ですねえ」とほめてくれました。なんていい人たちでしょう。  お参りをしたら、「本堂の中に入ってお神酒を飲んでいってください」といってくださったので、「え?犬も入っていいんですか?」と聞くと、それはそれはにこやかに、「はい。どうぞ」。それではと、まるをつれて本堂に入り、お神酒をと思ったとき、まるが落ち着かないようすでウロウロし始めました。これはまずい。おしっこするかもと思い、「お神酒はけっこうです」といって、あわてて外に出ました。本堂でおしっこは、あまりにも失礼ですから。

 小野神社は、菅原道真の先輩で、平安時代の和漢にすぐれた学者、小野篁(たかむら)を祭っているそうです。神社のまわりを散歩してみたら、梅林や畑が広がる気持ちのよい道でした。 「いい神社だったねー」 「いい人たちだったねー」 「さすが、恵方ねー」。  うれしい気持ちがいつまでも残る恵方参りでした。みなさんにとっても、2010年がよい1年になりますように!