ひなたぼっこばなし 第53話 「春の海岸」

 モクレンの白いハンカチのような花が風にひらひらゆれています。ユキヤナギの白色のまぶしいこと。レンギョウの黄色のはなやかなこと。私の家のまわりは、花がさきみだれていてとてもきれいです。春って、やっぱり、花ですね。

 この前、千葉の友人の家に遊びにいきました。となりの畑には、菜の花が咲き、オオイヌノフグリが背伸びをするようにチカチカ咲いていました。「あれ?あれはなに?」。畑に植えられている野菜にはちがいないのですが、きれいな花が咲いていて、まるで花束みたいです。それは、なんと、ブロッコリーでした。収穫しないのはもったいないけれど、すてきな野菜の花束をみることができて、ラッキー!


ブロッコリーの花束。ボリューム満点。

オオイヌノフグリも元気いっぱい。

 私たちは、友人の家の近くの九十九里浜(くじゅうくりはま)にも行きました。九十九里の「1里」は「6町」。1町は約109メートルなので、1里は約654メートル。したがって、99里は約64キロメートルとなります。九十九里浜は太平洋に面して60キロメートル以上も続く美しい浜です。

 その日はとてもいい天気だったので、サーフィンをしている人たちや、カイトをつけて風の力で波乗りをしている人たちもいました。かと思うと、馬にのって海岸をパカッパカッと走っている人もいるし。夫は、さっそく凧揚げ。風にのって、するすると勢いよく凧はあがり、あっというまに空の点になりました。凧の下につけた木の枝の重しも見えなくなりました。柴犬まるは、うれしさ爆発。砂浜を走り回り、「ここほれワンワン」とばかりに穴をほりはじめました。砂が口に大量にはいって、グホグホむせたりして。私は、海岸散歩。


海はひろいな。大きいな。

まるちゃん、暴走。
 波うちぎわを歩いていると、面白いものをみつけました。ヒトデのような模様がくっきりついた貝がらです。友人いわく、「たこのまくらだわ」。たこがこれをまくらにしてねむるなんて、想像しただけでおかしくなります。でも調べてみたら、「タコノマクラ」は、「タコノマクラ目タコノマクラ科」で、ウニに近い仲間だそうです。あだ名ではなくて、本名だったなんて!海の中には、不思議な生き物がたくさん暮らしているのですね。
 
 おだやかな春の海。ただ海をながめて、波の音をきいて、のーんびり。のーんびり。夏の海岸は太陽の光が強くて暑いけれど、今ごろはちょうどいい感じです。暑くならないうちに、また、行きたいな。

タコノマクラ。もようがみえるかな。