ひなたぼっこばなし 第34話 「 夏の図書館 」
おすすめ本@
声で読む日本の詩歌166
「おーい、ぽぽんた」福音館書店
詩、短歌、俳句。ふかい味わいもつ小さな言葉たちがいっぱい。絵は柚木沙弥郎さん。私の赤ちゃん絵本「えーんえん」の絵をかいてくださいました。
おすすめ本A
「人間はすばらしい」(椋鳩十)
椋さんの母校の小学校で子どもたちに語りかけたままを本にしてあります。椋さんの遺言(ゆいごん)だと私は思います。大切な本です。
おすすめ本B
「少年動物誌」(河合雅雄)
霊長類の研究の第一人者が、体の弱かった幼年時代の自然との関わりをイキイキと書いています。あとがきに「(自然破壊)の危機を乗り越えるには、一つは自然を大切にし、子どものときに自然を楽しむ習慣をつけることだと思います。オケラだってアメンボだって、みんな私たちの親しい仲間だという気持ちを養うことが大切でしょう。」とあります。高学年向き。ぜひ、読んでみてください。
なんて暑いのでしょう。朝8時で、私の部屋の温度計は40度!!でも、暑がってばかりもいられないので、おもいきって本のせいりをしました。そうしたら、いらない本が大きな紙袋に2つもでました。リサイクルゴミに出そうかと思ったのですが、けっこうきれいなので、図書館の入り口にある「交換本(こうかんぼん)」コーナーにもっていくことにしました。いざ、出発。自転車のカゴに本をいれて、ぎーこぎーこ。あつーい・・。せまい道で車とすれちがったら、熱い空気がもわっ。もう、汗タラタラ。
図書館は自転車で8分ぐらいのところにあります。交換本コーナーには、すでにいろんな本が並んでいました。私は本を並べてから、図書館に入りました。あ〜、ひんやり。
特にかりる本もなかったので、児童書や絵本をぶらぶら見ていました。子どもコーナーには、小学生が10人ぐらいいて、調べものをしている子もいれば、ふかふかの大きなマットにねころんで、絵本をよんでいる子たちもいました。しずかだし、すずしいし。すきな本もいっぱいあるし。夏の図書館って、いいなあ。
子どもコーナーには、私のすきな作家の本がたくさんありました。特にすきな人は椋鳩十(むくはとじゅう)。人と動物の心のつながりをえがいた作品を数多く書いています。宮沢賢治(みやざわけんじ)もすき。「とのさまがえるはチクチクあせをながし・・」(カイロ団長)という一文があるのですが、あせをながすようすをチクチクと表現するなんて、すごいと思いませんか。
みなさんは、どんな物語がすきですか。私は一番にあげるなら、「アルプスの少女ハイジ」。干し草のベッドで寝る場面では、草のにおいやはだざわりまで想像できたし、夕方の美しい景色も風も感じることができました。物語にすっぽりひたっていたのですね。「ごはんですよ」って母によばれるまで、部屋の電気をつけるのもわすれて本に読みふけっていた子どものころを、ふと思い出しました。
さて、あせもすっかりひきました。帰りぎわに交換本コーナーをみてみたら、さっきおいた本が、ほとんどなくなっていました。新しい持ち主が見つかったようです。あー、暑いなかもってきてよかった。
ところがね、先ほど友人にこの話をしたら、なんと、「交換本コーナーの本を、古本屋にうる人がいるそうよ」、ですって。えー。なんて、世の中でしょう。また、あせがでてきた。ふぅ。