今は3月。昨年の秋からとりかかっていた保育絵本(※)6月号の仕事が無事、終わりました。題名は「かめじまひなたぼっこ」。このエッセイのタイトルも「ひなたぼっこばなし」だし、以前「ひなたぼっこいし」という絵本を書いたことがあるし・・つまり、私、ひなたぼっこがすきなんです。(言わなくても、わかる?あっ、そう)
絵本作りは、私と絵描きさんと編集者との共同作業です。まず、文章を絵描きさんにわたし、ラフ(下書き)を描いてもらいます。それをみんなで見ながら、こうしたら、ああしたらと意見を言いあって、全体をまとめていきます。今回のメンバーは、絵がわたなべさもじろうさん、編集者は山が大好きなあやちゃん。そしてドーンとベテラン編集長。
「かめじまひなたぼっこ」は、とかげくんが日当たりのよいかめじまでひなたぼっこをしたくて、かめちゃんやかえるくんやあめんぼたちの力をかりて池をわたる物語です。ラフの打ち合わせは、秩父のさもじろうさんの家で順調にすすんでいました。池におちそうになったとかげくんを、まわりにいたあめんぼたちが力をあわせてもちあげ、助ける場面にさしかかりました。そこで、私が「あめんぼって、あの細い腕でどうやってとかげくんをもちあげるんですかね」とぽつっとつぶやいたとき、いっしゅん、へやの空気がかわりました。みなさん、し〜ん。あれ、どうしちゃったの?
しばらくすると・・・くにゃっ。さもじろうさんの背中が突然、まがり、目は天井へ。かくっかくっと、両手があがってきた!五本の指の先まで力が入っている感じ。なにかをかついでいるポーズだ。
あっ、あめんぼにちがいない。
すると、さもじろうさんの前にすわっていた編集長。くるりと後ろをむき(なぜ、むきをかえたのだろう)くにゃっと背中をまるめ、かくっかくっと両手をあげてきたあっ!
また、あめんぼだ。
その隣で、あやちゃんが、まるで池の底におちている石ころをひろうかのように深くうつむき、資料をむさぼり読んでいる。
他の人がみたら、なにやってんの?って思うかもしれないけれど、みんな、しんけんにあめんぼのイメージをとらえようとしていたのです。私は池にうかぶすいれんの花(ちなみに、色は赤です)になった気分で、ぽかんとその景色をみていました。
絵本は、チームワーク。合唱や野球みたいに、一人ではできません。だから、苦しいこともあるけど、すごく楽しいなってしみじみおもいます。かめじまひなたぼっこは、とてもいい仕上がりです。もし、この絵本を見ることがあったら、あめんぼたちがとかげをもちあげている場面をチェックしてみてください。
※保育絵本とは、幼稚園や保育園で注文すると1年間送られてくる絵本のことです。
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あめんぼの底力だぞ!P18.19 |
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さもじろうさんこだわりのとかげくんのポーズにご注目。どこかでみたような。P24.25 |
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かめじまひなたぼっこ:「こどものくに・チューリップ版6月号」問合せは鈴木出版3947−5161(代)まで。(発売は5月) |
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