ひなたぼっこばなし 第17話 「 犬と歩けば 」

2006年は犬年。柴犬まるをつれて散歩していたら、しらない人から突然、「今年はお犬様の年ですね」と言われました。徳川綱吉の時代じゃあるまいし。ちょっとオーバーだなと思ったけれど、考えてみたらうちは毎年毎日「お犬様」でした。

いろは歌留多の「い」は「犬も歩けば棒にあたる」ですが、お犬様と歩くと、いろんな物にあたります。この前、久しぶりに行った公園で、看板を発見。『ネコに与えたえさの残りは片づけて下さい。カラスが集まって困っています』と書いてありました。この公園には自転車で猫のごはんを運んできて、野良猫の世話をしているおじいさんとおばあさんがいます。その人たちがくると、どこからともなく猫たちが集まってきて、公園のあちこちにおかれたえさを食べるのです。けんかをすることもなく、毎日の決まりごとのようになかよくたべています。

地域の人たちが、えさをあげたり、避妊(ひにん)をしたりして、野良猫の世話をする話をよく聞きます。「地域猫」というのだそうです。猫だってご近所さんですから、とてもよいことですよね。でも、この看板を見るとそう簡単にはいかないのかも…と思いつつ。えさの後片付けをするのはもちろんですが、猫にえさをやるやらないに関係なく、公園が汚れていると感じた人が、自発的に掃除するのが自然なんじゃないのかな。

それから何日か後、少し遠出をしてまると初めての遊歩道を歩きました。ところが、あれ?やけに『犬のフンをもちかえりましょう』の看板が多い。いやな予感をおぼえながら歩き始めたら、「あっ!あぶない!」。息子の大きな声。なんと、遊歩道の真ん中に、そう、まんまん中に、大きいウンが。ドンッ。おっと、ふみそう!おどろいたことに、あるわあるわ、おちてるおちてる。点々と。ぶつギリ。ねじり。大つぶ小つぶ。ここを歩く飼い主のマナーのなんて悪いことッ。私たちがふまないように歩くことと、まるをふまないように歩かせることで、もうクタクタ。 私はこの遊歩道に看板をたてたいッ。
『飼い主さん。愛犬のウンはあなたのウン!必ず、家にもってかえりなさい!』

その晩、夫にこの話をして「うちのそばの遊歩道にはほとんど落ちてないのにね」というと、「うん。犬の散歩をさせながら、落ちているフンを拾っているおじいさんがいるんだよ」 ガ〜ン!!看板を立てる前に、私もウン拾い…できるかなぁ。新年早々、2枚の看板から、宿題をもらってしまった気分です。


カラスの足跡のイラスト入りです。なかなかかわいらしい看板ですけど・・。