おはようございます。
あいにくの雨に、それも、東京のすぐ南に台風が来ているという厳しい天気の中で、今日、品川小学校の緑の完成式を行うことができました。せっかくのお祝いを、天気のよい日に延ばさないで、今日やってしまうことには、二つの訳があります。
ひとつには、風も、雨も、時には大水や大風となって災害を引き起こすことがあっても、それが「自然」というものだからです。自然は人間にとって都合のいいものばかりではないのです。品川小学校が、駅前に花を植えたり、完成した裏の土手の観察道や屋上緑化で緑に触れ合えるようにしたのも、そんな大自然との付き合い方の入り口にしたかったからです。
私たちの心は、いろいろな相手とお話をすることができます。人間同士だけではありません。ペットの犬や猫に話しかけることはよくあります。木や花に話しかけたり、山や、空に話しかけることもできます。
耳を澄ませば、声の小さな人の言葉も聞き取れるように、 心を澄ませば、犬や猫や、 木や花や、山や空の話を聞くこともできます。「今日はがんばったね」と自分に話しかけ、「うん、でももっとがんばれたかもしれない」と自分に話しかけ、自分で答えるような、自分自身とお話ができることもあります。品川小学校の子供たちには、いろいろな相手と心で通じ合うことのできる人になってほしいと、思っています。だから、厳しい天気の今日、体育館での式になってしまいましたが、この完成式をしたかったのです。
もう一つ、どうしても今日やりたかった理由があります。
今日9月25日で、愛知県で開かれている万国博覧会「愛・地球博」が終わりになります。21世紀最初の、世界中が集まるこの博覧会のテーマは、「自然を守ろう」、「地球を守ろう」というものでした。このテーマは、しかし今日で終わるものではありません。むしろ、科学の進んだ今、これからこそが大事なテーマです。そこで、この9月25日を地球を守る終わりの日でではなく、初めの日にしようと考えた人々がいます。
品川小学校の新馬場駅前の
花壇づくりのはじめから応援してくだっさってきた「NPO プラントアツリー・プラントラブ」 の人たちです。「プラントアツリー・プラントラブ」は日本中、アジア中に広がって、今日この日、世界のあちこちで、木を植えようというハンドインハンドという活動の行事が行われています。私達も同じ仲間だよ。命を大切にする心でつながろうね、という気持ちを表すためにどうしても、今日、この完成式を今日やりたかったのです。
プランタツリーの皆さんは、今日の完成式にも応援に駆けつけてくださいました。そして、みんなへのプレゼントとして、ハンドインハンドの歌「地球(ほし)に帰ろう」を一緒に歌ってくださる声楽家の池田直樹さんも駆けつけてくださいました。池田さん、プランタツリープラントラブの皆さんお立ちください。ご紹介いたします。ありがとうございます。
このような、私達を応援してくださる人の輪は、いっそう広がっています。2学期に入って、品川小学校の緑化隊は、おととしの緑化隊、去年の緑化隊の5年生や6年生の希望者を加えて「緑の少年団品小緑化隊」となりました。この緑の少年団は、全国に3000以上もの団が活動していますが、私たちもいつかその仲間入りをします。その中心で支えてくださっているのが国土緑化推進機構です。国土緑化推進機構の皆さんも私達を応援してくださり、今日は常務理事の茂田和彦さんが駆けつけてくださっています。国土緑化推進機構からも、地歩でお祝いのプレゼントがあるそうです。茂田さん、お立ちください。ご紹介します。ありがとうございます。
さて、駅前の花壇作りから始まって、品川小学校の緑化隊の活動は3年が過ぎました。花壇作りは城南中のお兄さんやお姉さんと始めましたが、品小校友のおしいさんやおばあさんが参加してくださり、裏の土手の道作りや屋上緑化は、品小校友の地域のおやじの会のおじさんやお父さん、PTAのお母さんたちのてでできあがりました。道の一番奥には、チャレンジ体験教室のこども手で、青空教室もできました。
自然とお話しできるという話をさっきしましたが、その自然を通して、いろいろな人とお話ができて、心が通じ合っていく。それが何より大切です。駅前で、お話をしながら一緒に花を植えてくださった品小校友ののみなさんや町のおじさんたちとお話しでき、心が通じ合っていく。これが、品川小学校の緑の環境を作ってきた一番大切なことです。子どもたちの成長に、みなさんのご助力が何よりの、最高のプレゼントになりました。地域のみなさま、保護者のみなさまに心から感謝申し上げます。
今日は残念ながら雨です。このあとみなさんに裏の自然観察道や屋上を歩いてほしいのですが、無理かもしれません。大人の方、傘をさして歩いてもかまいませんが、滑らないよう、十分ご注意ください。なお、天気のよい日に、ご近所のみなさんとお散歩を、という方、どうぞおいでください。この大都会の真ん中で、これだけの散歩道をもった学校は、そう多くはないはずです。
さあ、子どもの手で、町の人やお父さんお母さんの手で、そして応援してくださったみなさんの手で作った品小緑の庭、育てるのは私たちです。美しい緑で美しい心を、自分たちで育てていきましょう。
これで、校長先生のお話を終わります。
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